イルカ、恋うた
たとえ、パシリだとしても、新人の俺には、大して役回りはないだろう。


「あ、部長だ」


岩居さんは、欠伸を噛み殺した。


予想に反して、部長は意外な指示をした。


被害者が地検の検事正。


拳銃から見て、いかがわしい組織も関係してるかもしれないと、基本は本庁が行うそうだ。


「俺達も、たまには駆り出されるだろうが、所轄なりに他に仕事がある。で、お前達二人には、ある仕事を頼む。

今回の検事正襲撃事件に関することだけど、指示された仕事以外は、口も手も出すなよ」


渡した一枚の写真を、岩居さんは嬉しそうに見てた。


「おお、美人だねぇ。この子がどうかした?」


「検事正の一人娘だ。この子の警護を任された」



逆恨みが家族に行くことと、

今は病院でしっかり警護されてる検事正の代わりに狙われるか、復讐に利用されるのを防ぐ為らしい。


「他の奴は、検事正の警護や、他の事件を担当してるし、新人と岩居が丁度いいコンビだと思ってな。

岩居は柔道段持ちだし、水島は腕っぷしが立つって、推薦でもあったしな」

そう言った後、部長は強い口調に変わった。

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