俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】
「買えた?」
「うんっ。? 総真くん、何か見てるの?」
私を見たり、全然別の場所を見たりしている。
訊くと、総真くんは少し唇の端をゆがめた。
「いやー、由羽がなかなか面白いことになってるなーって」
「お兄ちゃんいたの? あ、もしかして……」
「たぶん、そのもしかして」
お兄ちゃんも今日、デートだったのか。ソワソワしているわけだ。
「……総真くんって自分のことにはど天然なのに他人のことはよく見てるよね」
「? 何か言った?」
「………。想さんによく似てるなーって言った」
「……やめて」
総真くん、両親に対してのコンプレックス大きいからなあ。
と言うか、やっぱりお兄ちゃん……ふふふ。
心の中でにやついていると、総真くんが軽くうなった。
「さっきまで、由羽と遠江(とおとうみ)さんがいたんだけどね?」