みだらなキミと、密室で。
「……ごめん、海風」
「えっ……」
膝に腕を預けながら片方の手のひらで頭を抱えた遥琉が、ボソッと呟いた。
何に対しての“ごめん”なんだろう。
「……俺は海風との約束を守れなかった。ずっと」
約束って……。
「……いや、遥琉はずっと私との約束を守ってくれてたよ。あの時のこと本当に感謝してる。学校で話しかけないでって私の勝手なわがままに付き合ってくれてたじゃん、ずっと。はじめは心当たりなくて、遥琉はなんで私のそばからいなくなっちゃったんだろうって考えることもあったけど、今ならわかるよ。振り回してごめんね。遥琉も私に合わせるの疲れちゃったんだよね」
そう。遥琉はずっと私のために約束を守ってくれた。でもそれに疲れちゃったんだろう。
当然かも。
何も約束を破られたとは思っていない。
年頃の男の子が、女の子より同性の男の子と遊びたいって思う気持ちだってわかるし。
女として見られない幼なじみの私以外と、男女の付き合いをしたくなるのだってわかる。
「だから、謝らないで──」
「違うっ、」
まるで自分に言い聞かせるみたいに長々と言えば、遥琉が私の声を遮った。
ものすごく、苦しそうに。