みだらなキミと、密室で。



「遥琉、そろそろ授業始まるから行かないと」

屋上につながる人気《ひとけ》のない階段で、遥琉とふたりでお昼休みを過ごしていたけれど、

スマホのロック画面に目をやれば、あと5分でお昼休み時間が終わる時間。

それなのに、遥琉はなかなか私の肩に置いた頭を起こそうとしない。

「んー……もうちょっと」

「そのもうちょっとで授業が始まるんだよ」

「んー……」

昨日は気持ちが高揚して、なんだからしくないことをたくさん言ったりして、

それを今思い出して正直恥ずかしいのに。

遥琉はなんともないみたい。

昨日はあんなに、いやお互いにそうだったけど。なんていうか……興奮状態っていうか。

ダメだ……恥ずかしい。自分であんなことを言ってしまったなんて。

昨日はあれから、ふたりともなんだか放心状態で。

気がつけば、並んで家に帰った。

ご飯もお風呂も、心ここにあらずって感じで。

そして、朝、遥琉が私の家に迎えにきて。

「今日海風、バイトでしょ」

「うん、」

「……だよねー」

昨日からずっとドキドキしていて大変だ。

正確には昔から遥琉を見かけたらドキッとしていたけれど。

やっぱり、女の子にある程度免疫のある遥琉は、私とこういう関係になっても、

そこまで過剰に反応しないのかな。

昨日はあんなに壊れ物を扱うみたいに優しく触れてきたのに、

今日は平然と私の肩を借りているんだもん。
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