みだらなキミと、密室で。

「……いいの?遥琉。さっき我慢できないって……」

目をウルッとさせながらまた俺の名前を呼ぶから。どこで覚えたその可愛いの。

「ん。我慢してるけどしてないかな」

「えっ?」

「今でも充分、幸せだから。海風の可愛い顔もっと見たいから終わりたくない」

そう言えば、「なにそれ」なんて顔を晒すから。

「遥琉の変態」

「知ってる」

再会して、何度もキミに名前を呼ばれるたびに嬉しかった。

その瞳に俺だけを映して欲しいってずっと思っていた。

これからはもう絶対に離さないし、

素直に全力で甘えるから。

「好き、」

多分今、ものすごいだらしない顔をしている俺だけど、

許してよ。

こんな姿見せるの、一生海風だけだから。

彼女の顎に指を添えてまた唇を重ねて離せば、

「ふっ、知ってる。私も好き」

大好きな彼女は、一枚上手(うわて)なセリフを吐いて、あの頃の変わらない笑顔でそう言った。
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