一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
どうか失敗しませんように。
砂糖を割った卵にたっぷり入れ、注意しながら玉子焼きを作っていたら、急に耳元で匡の声がしてドキッとした。
「おっ、俺の好きな玉子焼き」
包丁で切った玉子焼きを匡がひと切れ摘んでパクッと口に入れる。
彼は、甘い玉子焼きに目がない。
「うまい」と子供のように笑う彼にキュンとなるが、心の動揺を抑えながら注意した。
「もう、包丁持ってる時に後ろに立たないでよ。指切りそうになった。それにつまみ食いなんて行儀が悪いな」
「悪い。いい匂いがして誘惑に勝てなかった。ちょっと着替えてくる」
ポンと私の頭を叩いてキッチンを出ていく匡。
心臓がバクバクしている。
なにこの新婚さんみたいなやり取り。
キュン死しそう。
ひとり心の中ではしゃぎながら朝食を作り、六人がけのテーブルに並べる。
全部並べ終えると、匡が戻ってきた。
ネクタイはしてないが、スーツに着替え、髪もセットしていて大人な雰囲気。
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