一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
不機嫌顔で質問する私に彼は頬杖をつき、口元に笑みを称えて言った。
「璃子ちゃんは兄貴にとって大切な女の子だから」
「それは妹みたいにって意味でしょう?」
「璃子、落ち着いて。みんなこっち見てるよ」
ずっと静観していたら優里が私を注意して、我に返った。
あっ……。ついムキになっちゃった。
「ごめん。もうこの話題はおしまい。直君も私をからかうのはやめてよね」
ハハッと笑いながら直君を注意すると、優里が場の空気を変えようと「大学の近くに美味しいカフェが出来てね」と話を切り出し、ラテアートの話題で盛り上がった。
パスタを食べ終わると、腕時計に目をやり、私も気を利かせてふたりに告げた。
「もうこんな時間。久野先生の研究室に戻らなきゃ。優里と直君はゆっくり食べてて。じゃあ」
トレーを持って立ち上がると、優里が慌てた。
「え?ちょ……璃子?」
「ごゆっくり」とびきりの笑顔で微笑んで、ふたりの前から立ち去る。
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