俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「久しぶりね」

「……どうしてここに?」

穏やかな声とは裏腹に、女性を見つめ返す愁さんの目はとても冷ややかだ。


「来週開催予定の新規カフェオープンパーティーの招待状を、館長に届けに来たの。それと、この撮影会の見学。まさかあなた自らモデルを務めているとは思わなかったわ」

彼の態度に動揺したのか、女性の口調が少し弱々しいものに変わる。

「わざわざ見学に来てくれてありがとう。パーティーって……あの立花(たちばな)さんがベーカリーショップとコラボレーションしたっていうカフェか?」

「気にしてくれていたの? ありがとう」

表情が途端にパッと華やぐ。

「いや、外食産業の同業者として耳にしただけだ。それよりもどうしてわざわざ招待状を持参したんだ?」

淡々としたおざなりな返答に、女性は少し落胆しているように見えた。

私はただ傍観者のようにふたりの様子を見つめていた。


話の流れでは、うちの銀行の取引先なのかどうかも現状ではわからない。

ふたりは気安い仲のように見えて、どこかよそよそしく遠慮している雰囲気も感じられた。


「館長に久しぶりにお会いしたかったし、相談もあったから……」

そう言って長いまつ毛を伏せた女性は、真夏にはあまり見かけない白い肌をしている。

バッグを握りしめる指は折れそうなほどに細い。
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