俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
……的確すぎて反論の余地がない。


ひとりなのに記憶をなくすまで酔っぱらうなんてまず不用心すぎるし、そもそも見知らぬ男性と気がつかない間にホテルに宿泊している時点で大問題だ。

たまたま、あの男性が頼子さんの弟だからよかったものの、とんでもない事故に巻き込まれる可能性だってある。

今回は本当に運がよかったとしかいいようがない。


『失恋は本当に悲しいと思うわ。やけ酒したい気持ちもわかる。新しい恋の相手探しは協力するし、話もいくらでもきくわ。だけど、やけだけは起こしてはダメ!』

さらに、ひとりで深夜に外で泥酔してはいけない、と母より厳しく説教された。

庭園内での飲酒は特にお咎めがなく、そのおおらかさが頼子さんだな、と思ってしまった。

聞くところによると、その昔、頼子さんも庭園でやけ酒をした経験があるらしい。


「あの、愁さんにお礼とお詫びをお伝えください。もしよろしければ直接申し上げたいのですが……」

『そんなの必要ないわ。無抵抗な沙和ちゃんを連れ込むなんてあの子が謝罪すべきよ。まったく腹立たしい』

だからなんでそっちの方向に話が戻ってしまうのだろう。

憤懣やるかたない様子の頼子さんに、愁さんにお礼と謝罪を伝えてくれるように何度もお願いし、通話を終えた。

< 25 / 227 >

この作品をシェア

pagetop