俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
スマートフォンを手の中で握りしめて独り言を呟く。

ふうっと長い息を吐いた。

まだ心臓がドキドキと早鐘をうっている。


昨夜犯した失態は顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。

今までこんなとんでもない真似をした経験はない。


なにがあったのか知りたい気もするけれど、記憶から抹消してしまいたい思いが勝る。

絶対に屋外でのやけ酒は今後やめようと心に固く誓った。


……あの美形男性が頼子さんの弟さんだったなんて。


夢の中で聞いた優しい男性の声は、もしかして彼だったのだろうか。

まさか、そんなおとぎ話みたいな展開なんてあるわけがない。

あれはきっと失恋で弱った私の心が見せた幻だ。


彼に会う機会はきっと二度とない。

というか会わせる顔がないし、彼もあれだけ迷惑をかけられて再会したいとは思っていないだろう。


入浴準備をして洗面所に向かう。

軽く首を横に振って、鏡を見つめた。

お酒を飲んだせいか面長の顔が少し浮腫んでいる。

悲惨すぎる自分の様相に溜め息がこぼれる。
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