俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
こんな私を介抱してくれた愁さんは本当に素晴らしい人だと思う。

逃げるように帰ってきてしまった後悔が溢れ出す。


……それでも同じベッドに寝るのはできれば勘弁してほしかったけれど……。


若干のわがままが胸をつく。

お礼状を書いて頼子さんに渡そうと決意して、鏡をもう一度覗き込む。


その時、耳元を飾っていたピアスがなくなっていることに気づいた。

お気に入りの薄紅色の小花モチーフの小さなピアス。


「どこかで落とした……?」


誰もいない洗面所に頼りない声が響く。

まったくついていない。

疲労と緊張感が解放され、身体が一気に重くなる。


とりあえずシャワーを浴びてから脱いだ服を確認しようと決めて、のろのろと浴室の扉を開けた。
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