俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
私の職場は全国に支店を持つ都市銀行だ。

転勤を経験し、現在は東京大手町にある本社のローン事業部に勤務している。

個人向けローンの商品開発担当主任として、そして最近は後輩の育成も任されている。


1LDKの自宅は、勤務地から電車を乗り継いで三十分もかからない場所にある。

自宅から最寄り駅までは徒歩十分ほどで、駅前には昔ながらの商店街が栄えていて人通りも多い。


自宅から徒歩十五分くらいの場所に緑豊かな庭園に囲まれた美術館がある。

開園時間内ならば出入りは自由だ。

きちんと手入れがされ、季節ごとにたくさんの花々が咲き乱れる様は、街中とは思えないくらいに美しい。


この美術館の館長で、庭園の管理人でもある城崎さんは、亡くなった祖父の親友だ。

初めてこの庭園の前を通りがかった時、ふと祖父を思い出し懐かしさから足を踏み入れた。

優しく穏やかな空間に心奪われていると、不意に話しかけられ、城崎さんと再会した。

こんな偶然があるのかと、あの時は本当に驚いた。


私の母方の実家は代々造園業を営んでいる。

祖父は知識も経験も豊富で、多くの職人を育てていた。


幼い頃はよく祖父の仕事を見学したり、手伝いをさせてもらっていた。

孫に甘い祖父は私をとても可愛がってくれた。

その当時、度々顔を合わせていたのが城崎さんだった。
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