俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「社長、いつまで浦部様を引き留めているんです?」

突如割り込んだ冷静な声に、彼が思い切り不機嫌そうに眉をひそめる。


「……お前は本当にタイミングが悪いな」

津田さんを尻目に肩をすくめ、再び近い距離で顔を覗き込まれる。


「またな。今後、外でひとりで酒は飲むなよ?」

耳元に艶のある声で囁かれ、ビクンと肩が跳ねた。

「の、飲みません」

頼子さんにも散々注意を受けた。

もうするつもりはないのになんの確認なんだろう。


返事に満足したのか、ニッと口角を上げ、踵を返す。

去り際に私の髪を長い指がそっと梳く。

そのさりげない仕草にハッと息を呑む。


「もう、本当になんなの……」

こぼれ落ちた言葉は誰にも拾われず、熱くなった頬と暴れだす鼓動を持て余す。

板谷社長の真意がどうしても計り知れない。
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