俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「……教えるまで帰らないぞ?」

心の声が聞こえてしまったのか、物騒なセリフが告げられる。

すうっと底冷えしそうな低い声とともにまた表情が変わる。


先ほどまでの柔らかな表情はどこにも見当たらない。

この人の本心はどこにあるのだろう。


私を不愉快に思っているのではなかったの?


「横暴です!」

「ピアス、返してほしくないのか?」

緩やかな弧を描く口元が憎らしい。

痛いところを突かれて返事に窮する。


いったいなにがしたいの? 天下の板谷ホールディングスの社長がこんな子どもじみた真似をするなんて。


連絡先を告げるまで、きっと諦めないだろう。

小さく息を吐いて入力を始める。

やっとの思いで入力し、スマートフォンを返すと、板谷社長はなにやら操作をする。


再びスーツの内側のポケットに手を入れ、名刺入れから名刺を取り出して、サラサラとなにか書き込む。


「着信も残したけど、俺の連絡先だ。これからは姉貴を通すなよ」

念押しとともに名刺を渡され、反射的に両手で受け取る。
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