さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
「……ちょっと、その辺のところをもっと深く教えてよ?」
思わず、わたしがソファから身を乗り出すと……
「当事務所では、法律相談は三〇分五千円〜となっております」
母は「弁護士・君島 みき子」の顔で答えた。
——は、腹立つ……っ!
「冗談よ」
母は、しれっと返した。
「じゃあさ……お、おかあさんたちはどうだったのよ?」
せっかくの機会だから、と思い切って「核心」に触れてみる。
彼らから生まれた「子ども」のわたしには、一応「訊く権利」くらいあるだろう。
——とは言え、心なしか声が震えてしまっているけれども……
「……すでに『破綻』している今の現状から察しなさいよ」
今までポーカーフェイスだった母の顔が、みるみるうちに歪んだ。
そして、幸生さんが淹れていったエスプレッソをごくりと飲むと、ため息とともにつぶやいた。
「まるで、手に取るように相手の考えていることが理解るってのも、考えものよね……」