さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
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「……茂樹、もう少し水飲む?」

わたしがそう尋ねると、茂樹は無言でデュラレックス(グラス)を突き出してきた。

——なんだ、まだ飲むんだ?

仕方なくグラスを受け取り、カウンターの向こうへ回ってウォーターサーバーで水を注ぐ。
冷たすぎると飲みにくいだろうから、敢えて氷は入れない。


グラスを茂樹に返せば、くぅーっと一気に(あお)るように飲み干す。

そのあと、ふぅーっと全身全霊で息を吐き出した。

「少しは落ち着いた?」

彼の目の前に置かれたローテーブルを挟んだ向かい側に、わたしは腰を下ろした。


「……あぁ、まあな」

ようやく、人心地ついたようだ。

「どうして、そんなバカな呑み方したのよ?」


「……先週の日曜日の夜、おまえのマンションへ行った」

——へっ?

わたしの問いかけに、まともに答えられていない。

「ねぇ、あんたまだ酔ってるんじゃないの?」

だが、土曜日の夜から翌日の夕方までずっとここで呑んでいて翔くんに追い出されちゃったあと、どうやら彼はわたしのマンションを訪れていたらしい、ということは(わか)った。


「夜が明けるまで、マンションにいたが……」

合鍵を持つ茂樹は出入り自由だ。

「……おまえはとうとう帰ってこなかった」


——だって、その日は……

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