さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
——あぁ、やっと茂樹の「本当の気持ち」が聞けた……
先刻から立ち上がったままだったわたしは、へなへな…とソファに座り込んだ。
そのとき、母の言葉がわたしの脳裏に次々と甦ってきた。
『理解っていたのは、わたしじゃないわ。
……あなたのお父さんの方よ』
『あのね、光彩。
これでも……あなたのお父さんには感謝しているのよ』
『彼はわたしに——
ちゃんと「さよなら」を教えてくれたからよ』
母があんなにも心置きなく「現在」を生きていられるのは……
——父とちゃんと「さよなら」ができたからだ。
わたしは学生時代の頃、確かにきっばりと茂樹からフラれた。
けれども、彼のことを好きな心も、カラダの関係も……なに一つ変わることなく、ずるずると今日まで続けてきた。
わたしも、茂樹も——
本当の意味では「さよなら」ができていなかったのだ。
——あぁ、今だ。
今なら、ようやく……茂樹に言える気がする。