さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜

そもそも、それこそ大学に入って知り合ったばかりのときに、お互い若さゆえに「好奇心」から「カラダの関係」を持ってしまったことに端を発する。

もちろん、ハジメテ同士だ。

そのままズルズルと、なんとなーく「関係」が続き、いつの間にか周囲から「カレカノ」に見られるようになった。

だけど——それでも、よかった。

だって、わたしはいつの間にか、茂樹のことが好きになっていたから。


だから、茂樹が学業と「富多家での仕事」の両立で忙しすぎて、デートらしきものなんてしたことがなかったけれども……
(休講になったときにはラブホに連れて行かれたけどね!)

せいぜい、誕生日に二人でごはんを食べに行ったくらいだろうか……
(それも、働いている人までみーんな揃って一緒に食べるっていう「富多家の夕食」までには絶対に帰らないといけないとかで、麻布十番なのにジョ◯サン(ファミレス)だったけどね!)

クリスマスも、例の如く富多家のみなさんが勢揃いして「聖なる夜」を祝うそうで……

彼にとってはどんなときも、富多家と母親そして歳の離れた妹が「最優先」だった。

だけど——それでも、仕方ないと思っていた。


にもかかわらず——

『母と妹のために、おれはなんとしても司法試験に合格しなければならないんだ』

法科大学院に入り、卒業して司法試験の受験資格を得るため、今まで以上に勉学に励まなくてはならなくなったとき、彼はわたしに告げた。

さらに——

『このままおまえと付き合っていても……
いや、おれはこの先だれとも結婚する気はないから……別れよう』

と、きっぱりと言われたのだ。

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