一樹君の恋人は天使なんです
体をふきながら、髪を乾かしながら、一樹は悠が初めて面接に来た時の本当の気持ちを思い出していた。
純真な目で見つめられ、目と目が合うと、ドキッとさせられた悠。
男性にしては何かが違うような気がした。
どこか内に何かを秘めているような悠を見て、一樹はなんとなく気になっている自分がいるのに気付いた。
だから雇ってしまって、万が一でも、気の迷うが生じたらどうしたらいいのか分からなくなると思ったのだ。
美恵が賛成したことから雇ってしまったが、できるだけ距離は置いておいたほうがいいと思い、関わらないようにしていたつもりだったが。
気づけばずっと、目で追っていて、気に掛けるようになっていた。
寝室では悠がぐっすり眠っている。
一樹は悠の寝顔を見ていると、なんだか癒される気持ちになって嬉しくなった。
「しかし、どうするかな? 余分な布団はないし…」
考えながら、一樹は眠っている悠を見た。
広めのシングルベッド。
悠が寝ていても、もう一人余裕で寝ることが出来る。
「まぁ、仕方ないか」
ちょっと遠慮がちに、一樹は悠の隣に入った。
規則正しい寝息が聞こえる。
片手で頭を支えて、一樹は悠の寝顔をじっと見つめた。
気持ちよさそうに寝ている悠に、ツンと指で頬をついてみた。
しかしぐっすり眠っている悠は気づかず、そのまま眠っている。
「マジで気持ちよさそうに寝てやがる。無防備すぎじゃないか? 」
今度はプルッとしている悠の唇を指でなぞってみる一樹。
「すげぇ柔らかい。…」
じっと見ていると、悠の寝顔はなんだかいたずらしたくなる。
「やべぇ、ここら辺で止めないと」
一樹は横になり目を閉じた。