他校生
「わぁ、綺麗なふくらはぎ!」


「ねぇ、紗香、2階行かない?」


「ちょっと勇気蓄えてくるからさ、今日はここから…」


「そんなに恥ずかしいものかなぁ…」


「私もさ、このままじゃダメだなって思う」

紗香がそう言って…


2階のギャラリーが見えるくらいにしゃがんだ。


「このままじゃダメっていうかね、このままじゃ、“嫌”って、思ったんだよね。ふっちーが…誰かと付き合う…とかさ…“嫌”って、思った」


紗香が私の方を見据えて



「だから、このままじゃ、ダメだなって思う」


何かを決心したようにそう言った。


「うん、頑張って」

そう言って頷いた。



頑張らないとって、分かる。


だけど、頑張るって凄く難しい。



「朱里、あの人いた?」


「いや、分からないんだよ。なんせ、ふくらはぎしか見えない…向こうのゴール下まで行く頃には全体が見えるものの…遠い……」


「甘いわね、私をなんてふくらはぎだけで分かる。シュートフォームとか、走り方とか……後ろ姿でも分かる」


キャリアが違うと言わんばかりの紗香に


「いや、私…ふくらはぎとか見るの初めてだし、制服では足出ないでしょ!?」



「バスケってふくらはぎの位置が高いんだよね。キュッて上の方にあって…バレー部とはまた違うね」


……人の話聞いてないな。

ま、いいか。


「ジャンプの仕方が違うからって聞いたよ、それ。陸上とか、種目によって違うのかな?」


「スポーツにおける、ふくらはぎの発達の違い……あっ、ふっちーこけた!」


小窓から覗く紗香に
冷静に見たら面白いな。



「紗香、トイレ行ってくる」


「あ、はーい」


紗香は小窓を覗きながら、こっちを振り向く事もなくヒラヒラと手を振った。





『このままじゃ、嫌』か……。


好きが募れば…


そう思う。

ただ、片思いを続けたいのであれば…このままでもいいのか?


相手(ふっちー)に彼女が出来たら…

私の場合は

あの人に、彼女がいたら?
好きな人がいたら?


考えたくない。


それって結局…


自分が、“彼女”になりたいって事…だよね。





2回しか会った事のない人の…


私は彼女になりたいのか。



話した事も、名前も知らないのに。





校舎から出て、遠目で小窓の辺りを見る。



紗香がいない。

少し視線を動かすと


どうやら、バスケ部の休憩時間らしく…
紗香は……


ふっちーと話していた。


ここから見ても、紗香の緊張した顔!


助けてあげるかぁ…

そう思ってそっちへと向かって歩いた。





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