この男、危険人物につき取扱注意!

男が帰った後、千夏は篠原教授に彼《木ノ下》との関係を聞いた。
すると篠原教授は「私の古い友人の息子さんだよ」とだけ言うと、それ以上何も話さなかった。


(ただそれだけ…?
もっと、何かある様に感じたんだけど…)

「…せんせ」

「ん?」

「ううん。なんでもない」


普段ならもっと聞きたいところだが、今回ばかりはそれ以上聞いてはいけない気がして、千夏はその話は終わらせた。


「それにしてもあの男、ぬか漬けが好きなら好きだって素直に言えば良いのに!
そしたら、瓜とみょうがもあげたのにさ!」

「千夏っちゃんは、彼がぬか漬け好きな事よく分かったね?」と教授はにっこり微笑んだ。

「あの人、一見無表情だけどさ…」

「千夏っちゃんには、彼の気持ちが伝わった?
そうか、伝わったか?」と篠原教授はひとり楽しそうに微笑んでいた。

その後、篠原教授は、彼《木ノ下》が持って来た風呂敷包みを大事そうに抱えていた。
その姿は、まるで中身に語りかけている様に千夏には見えた。




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