この男、危険人物につき取扱注意!
身を縮める千夏は、次に何を言われるかと身構えていると、予期しない言葉で責め立てられる事となった。
「何が同僚と食事だ⁉︎
同僚の相談に乗ってた?
マンションの一室でか⁉︎
それも、この男の相談に乗ってたって言うのか⁉︎」
と、琢磨は怒りを露わにしながら木ノ下を指差した。
「え?」(なんで…)
「木ノ下さん、いえ、原黒蛇さん?
貴方会社の近くにマンションをお持ちですよね?」
(えっ⁉︎ 今、チーフを原黒蛇さんって言った?
どうして、その名前を…
どうしてチーフのマンションの事…
なんで…琢兄が知ってるの…?)
「…琢兄…?」
「私達は、貴方を信じて千夏を預けたのに、社長自ら社員に手を出すとは…
貴方やり方が汚いじゃないですか⁉︎
実業家を装ってても、やっぱりヤクザはヤクザですね⁉︎」
(ヤクザ…誰が…?)
「ちょ、ちょっと待って!
琢兄、先に質問させて!
なんで、私がチーフのマンションに行った事知ってるの?」
「そんな事今は良い‼︎」
「良くない!
話してくれないなら、私も話す事はないから!
ここから出て行って‼︎」
「……そんなものは、スマホとペンダントのGPSで分かるんだよ!」
「だってスマホのGPSは…私切ってるよ…?」
GPSは、携帯を落とした時や、緊急時などには便利な機能ではあるが、バッテリーの減りが早いと言うのを理由に千夏は切っていた。
と言うのも、大学時代コンパで帰りが遅かった時、琢磨が千夏の携帯のGPSを使って、居所を探し迎えに来て以来、千夏は常にGPSを切る事にしていた。
(ん?…GPS…いま…スマホとペンダントって言った?
嘘でしょ…
琢兄が就職祝いだってくれたこのスマホには、別に何か取り付けて有るの?
信兄がくれたこれも…
ただのペンダントじゃ無いって事…?
今迄のデート先に現れたのも、合コンや婚活先に現れたのも…)
「じゃ、いつも私を監視してたの…?」
「今はそんな事はどうでも良い!
それより、この男がヤクザだって事だ!」
(そんな事…?
お兄ちゃん達にとってはそんな事なんだ…)