極上弁護士の耽溺プロポーズ
結局わたしの仕事が終わったのも遅く、柊一くんの事務所に着いたときには午後九時を過ぎていた。

柊一くんは前に、余程のことがない限り事務員さんたちに残業はさせないと言っていた。

その言葉通り、そこにはもう柊一くんと椎葉さん以外いなかった。

「何ですか、あなた。また来たんですか」

相変わらず椎葉さんはわたしの顔を見るなり不愉快そうに睨め付けたけれど、今日のわたしはそのことにめげている場合ではなかった。

「し、椎葉さん、ちょっと……」

「は? 私?」

「うん。柊一くん、ちょっと応接室借りていいかな?」

わたしは柊一くんに目配せした。

どうしても柊一くんには聞かれたくなかった。

場所を変えたいくらいだったけれど、好意的ではない椎葉さんを連れ出すのはわたしにとってかなりの難題だ。
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