極上弁護士の耽溺プロポーズ
一言も発せずハンドルを握る柊一くんを盗み見てから、わたしは気づかれないように深呼吸した。

わたしの家に送ってもらうまで、あと十分というところだった。

この道をまっすぐ進めばわたしの家の方向だ。

「……え?」

けれど車は急に手前の十字路を左に曲がった。

わたしは慌てて柊一くんを振り返る。

これは、柊一くんの家に向かう道だった。

「今夜は、うちに泊まっていけ」

「……で、でも……」

わたしは返事に困った。

柊一くんのマンションに行くのは、あの日――一ヶ月ちょっと前に、恋人になった日以来だった。

それから柊一くんは相変わらず忙しく、わたし
たちは外でごはんに行くくらいしか会えていなかった。

「明日は土曜だからいいだろ」

わたしはつい二の足を踏んでしまう。
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