極上弁護士の耽溺プロポーズ
「……っ」

マンションのエントランスに目をやると、そこには見覚えのある車が停まっていた。

わたしは息を呑む。

夜の住宅街に、車のドアの開閉音が思いのほか大きく反響して、柊一くんが降りてきた。

「光希……!」

「来ないで……!」

わたしは慌てて来た道を引き返した。

駆け足で駅まで戻り、タクシーに飛び乗る。心臓が早鐘を打っていた。

一週間ぶりに見た柊一くんはひどく切迫した顔をしていて、わたしをうろたえさせずにはいられなかった。


繁華街でタクシーを降りると、慣れないショットバーに入った。

普段はひとりで飲みに行くことはないけれど、ほかに行くあてがなかった。

「……」

だめだ、もう……。

どうしていいかわからなかった。

頭が混乱して全然酔えない。

柊一くんの顔が焼きついて離れない……。
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