続・最後のキスが忘れられなくて
「ところで、アッコ先輩、結婚するらしい。」

「えっ?それ本当?」

「噂じゃ、年末前。」

「クリスマス婚?」

「詳しくは知らない。」

「お相手は誰かしら?」

「社内のヤツではない、みたいだ。」

鈍感な良菜でもピンとくるものがあったのだろう。

「何か含みがあるような言い方ね。」

「俺は飲み仲間から聞いただけだ。」

「そうなの?アッコ先輩とはかなり親しく飲んでたとか?」

「飲み会で会うことが多かったのは事実だ。」

「ふーん。そうなんだ。」

まさか言い寄られたことがあるとは良菜もゆめゆめ思わないだろう。

「何?知りたいわけ?」

「別に、何もないなら隠すことないと思うけど。」

「良菜が知らなくてもいいことだってある。」

「そうね。知らない方が幸せってこともある。」

「そんな風にトゲトゲしくなるなよ。」

「だって、やっぱりモヤモヤしちゃうじゃない。」

気になって仕方がないということはそれだけ想われていると

周一はそう考えて内心ニヤニヤしながら

自分の愛しい想い人にキスした。

そのキスはついばむように無邪気で軽くリズム感があって

良菜の唇を散々じらして欲しがらせるものだった。

「もっと欲しい?」

「してして。」

「俺のわがまま良菜。」

「しゅ・う・い・ちぃ。」

良菜の小さな甘え声に周一の心は揺さぶられた。

アッコ先輩のことはどうでもいいこの甘々な恋人たちは

その後どうしようもなく甘ったるいキスに没頭して息を殺し合った。


        ~ 完 ~


お楽しみいただけましたでしょうか。
契約恋人だの元恋人だの
そんなことは結局どうでもよくて
くっついたり離れたりの適度な距離感は
周一と良菜のこれからの大人の恋の行方と
まだまだ続きそうなこの二人のスイートな恋物語が
どんな結末になるのかはまたのお楽しみとなりそうです。
これからも不定期の公開となりますが
ご愛読を賜りますようお願い申し上げます。

末筆ですが
番外編として「アッコ先輩の恋事情」に
アッコ先輩のその後を添えさせていただきます。
引き続きこちらもお楽しみくださいませ。

     ~ 北原 留守留 ~

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