白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)


 総長はヘルメットを脱ぐと
 隣のベンチに座った。


「十環、
 お前、中学休んでるだろ?」


「……はい」


「昨日もおとといも
 中学の前でお前が出てくるのを
 待ってたんだからな。

 おとといは
 テンション高い女子中学生に囲まれてさ。

 昨日なんて
 先生たちに囲まれて大変だったんだぜ。

 警察呼ばれそうになったから
 さすがに逃げたけどな」


「俺もう……

 中学なんて行きません」


「は?」


「だって
 総長との約束だったから。
 
 TODOMEKIにいたいなら
 中学は卒業しろって言われたから
 嫌々いっていたけど。

 もう、中学に行く理由
 ありませんから」



「ああ……もう!

 十環、ちょっと待ってろ!」


 そう言って
 総長は神社から出て行った。



 俺のことを裏切った総長の顔なんか
 見たくないのに。


 総長がどこかに行った今のうちに
 逃げ出そうと思うのに。


 体が言うことを聞いてくれない。


 だって……

 嫌いになれないから……

 総長のこと



 そうしているうちに
 総長がまた戻ってきた。

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