白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)

「寒いだろ? ほれ」


 手渡してくれたのは
 温かい無糖の缶コーヒー。


「ありがとうございます」

 
 え? 


 いつも無糖のコーヒーを飲んでいる総長が
 今日は、甘さマックスのミルクティー?


「総長って……

 甘いもの嫌いなんじゃ……」



「あ、これ?
 みんなには内緒な。

 俺本当は、甘党だからさ」


「なんで
 そんなことを隠しているんですか?」


「だってさ
 TODOMEKIの総長が
 甘党なんてカッコ悪くねぇか?

 集会の時に
 コーヒーじゃなくて
 極甘ミルクティーとか飲んでたら
 なめられそうだし。

 このことは、お前しか知らないからな。

 みんなには言うなよな」



 みんなに言うも何も
 もう俺は
 TODOMEKIのみんなに
 会うことすらないと思うのに。


 俺をTODOMEKIから追い出したのは
 総長だし。



 今まで総長に嫌われないように
 笑顔を作って
 言うことはなんでも聞いてきた。


 でも今は
 笑顔なんて作れない。



 俺が地面を睨みつけていると
 総長の声が耳に届いた。

< 73 / 161 >

この作品をシェア

pagetop