しあわせ食堂の異世界ご飯6
 ここ最近ずっと出ていなかった話題に、アリアとシャルルの肩が跳ねる。
 どうしてますかって? そりゃあ、皇帝陛下の婚約者をしていて忙しいですよ――なんて。
 さすがにカミルに説明するわけにはいかないので、アリアは慌ててそれらしい理由を探す。
「リズちゃんはお稽古事とかあるって言ってたから、それが大変なのかもしれないね」
「あ、それもそうだな。俺が子供のころなんて、遊ぶこと以外はしてなかったっつーのに……偉いなぁ」
 自分には無理そうだと、カミルが笑う。
「わかりますよ。私だって、山を走りまわるような子供でしたもん」
「シャルルはめちゃくちゃやんちゃだな……でも、毎日鍛錬してるシャルルらしいといえばらしいか」
 毎日泥だらけになるまで遊んでいたシャルルは、カミルの言葉に力強く頷いた。
 エストレーラは大自然に恵まれた国だ。
 山や森、川など子供が遊ぶところはたくさんあった。さらにシャルルはアリアに料理をしてもらうため、山菜採りや魚釣りなど、いろいろなことをしたものだ。
 シャルルもカミルも自分の子供時代を思い出し、わかることは……リズはすごいということだけだった。
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