しあわせ食堂の異世界ご飯6
「……っと、いけない。そこまで時間に余裕があるわけじゃないんでした。食べられないのならば、すぐに戻らなければ。すみません、お店の前で長々と話をしてしまいまして」
「あ、いえいえ。ぜひまたきてください」
「次回のケーキバイキングには、必ず!」
 ぐっと拳に力を入れて頷き、ルシオは足早にしあわせ食堂から王城へ向かった。

 同時刻、しあわせ食堂の店内では至福の時間が訪れているところだった。
 内装はいつもと少し変えられていて、四人掛けテーブルひとつと、カウンターテーブルを使ってケーキ類が並べられている。
 そしてただ並べるだけではもったいないので、カミルに手伝ってもらったフルーツの飾り切りも添えてある。
 可愛いひと口サイズのケーキは女性の心を鷲掴みにし、離そうとはしない。その証拠に、店内のほとんどが女性客だ。

 特別だよと言われ、アリアからケーキバイキングに招待されたララとナタリーが、まるで幻でも見ているかのように何度も瞬きを繰り返す。
 自分の前に現れたきらめきの世界が、どうしても信じられないのだ。
「ねえ、ララちゃん……これって夢かな?」
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