ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
向かった先は図書室。
文献や医学雑誌は資料室でもできるが、書籍の医学書はここにある。
足を運び慣れている産婦人科関連の書庫とは反対側にあるらしい整形外科関連の書庫のほうへ進む。
目的地である整形外科関連書庫に到着したものの、膨大な量の書籍にどこから探せばいいのか戸惑う。
パソコンで文献検索をすればいいかもしれないけれど、俺はいつも実際に書庫まで足を運んで書籍を手にとって探す習慣があるため、いつも通り書庫を直視して、手の外科関連の書籍を探した。
『まずは手の解剖のおさらいからしないとな・・・。』
分厚い解剖書、しかも手だけの解剖書。
手という身体のごく一部の器官について何をこんなにも大量のページを割いて執筆することがあるんだ?と思いながら、本を開く。
実物大よりも大きな手や指の解剖図
彩色も腱、神経、血管、筋肉、軟部組織などが一目でわかるように工夫されている。
『細かい・・・屈筋腱とか、こんなに複雑な構造なのか・・・・』
解剖図もより立体的に見えるように、正面図、側面図、背面図など様々な視点で描かれている。
近年では解剖アプリなども存在するけれど、図だけでなく解説も一目で読めるから俺は未だに書籍を好む。
『じっくり読みこまないとな・・・手のリハビリの本とかも何冊か借りていこうか。』
もうすぐ業務開始となる時刻が迫っていた俺は、手の外科や手のリハビリと背表紙に書かれている書籍を5冊ほど取り出し、自動貸出用パソコン端末にそれらをスキャンさせた後、それを抱えながら図書室から退出した。