ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来








ガシャン、ガタガタ





「・・・もうそろそろ寝たほうがいいんじゃない?明日も松浦クンとこでリハビリ、ガッチリ絞られるんだろ?寝不足じゃあ、カラダ持たないし・・・シミ、シワが増えちゃってオバサン街道まっしぐらってヤツだぜ!ブブブ、オバサン!!!!それじゃ、おやすみ。」



彼は処置カートを勢いよく前へ押し出しながら顔だけを私のほうに向けそう語りかけた。




そのイジワルそうな表情も、口ぶりも

私がよく知っているいつもの彼・・・そのものだった。



私が彼の異変を気にかけているほんの一瞬の間に、
どうやら森村優という男の人が
主治医森村医師に戻ってしまっていたらしかった。



そして処置室内にひとり取り残されてしまった私。
静まり返った室内。



ついさっきまでのこの空間というと

産科医師と整形外科医師という肩書きがある彼らが
これからの私をどうするか
それを巡ってお互いに面を向かい合わせ、一触即発状態


そんな肩書きのある彼らにおいては
この空間では決してあってはならない状況


いわゆる“修羅場”

嘘みたいな現実


でもそれは目を背けてはならない、逃れられない現実


だって彼らは本気で向き合っていたから


だから私もちゃんと向き合う

その現実に




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