ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



ナオフミさんに自分のコトだけ見ていて欲しいという独占欲だけで

彼の置かれている立場とか事情とか
そんなの何も考えもせずに
彼に対して不満を抱いたり


こんな私、完全に守りに入ってるじゃない・・



あの時の私は
こんな風に守りに入ってなかった



誰かに自分のコトを守って貰おうなんて
そんなコト、全然思ってなかった




あの時の私

凄く前向きで・・・私らしかった




もしかしたら
守って貰うなんて、そんなの
私らしくない、よね?








『・・・あの、私・・・』


「その先は、今、言わなくていい。2週間後、退院する時にオレからキミにちゃんと伝えたいことがあるから。その時に聞かせて欲しい。」



ベッドの上に並べられていた処置用の器具と使用済みのガーゼをやや雑な手つきでひとまとめにしながら、こちらに顔を向けないまま私の言葉の続きを遮った森村医師。



『伝えたいコト、って、もしかして』

「今はキミの治療において大切な時期だから、キミの主治医として集中するから・・・今は言わない。」




彼が言おうとしていたことが解らなかったからではなく、なんとなく予測がついたから

だから私は彼に確認をする口ぶりでそう問いかけたのに
またまた私の言葉の続きを遮ってしまった彼。




その横顔は
いつものふざけた様子でもなく
ついさっきナオフミさんがいた前で見せた真剣な様子でもなく


「それに今、それを伝えたら、アンフェアだけじゃすまなくて、状況が逆転しちゃうかもしれないしね。」



気のせいかもしれないけれど
どこか遠くを見つめているような、何かに怯えているような、私が知らない彼の一面を映し出しているように見えた。





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