ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
彼女の後ろ姿しか見えていなかったが明らかに余計な肩の力が抜けている。
彼女は大丈夫だという手応えを俺は感じ始めていた。
でも、目の前にいる人達は医師、看護、臨床心理などの医療のプロ集団。
そんな彼らが集まっているのは遺伝相談という更に専門性の高い集団。
その中に放り込まれる予定の新人臨床心理士。
「日詠先生、彼女ですか?」
『ええ。そうです。』
ようやく来たわね・・みたいな迫力で俺に問いかけてきたのは
臨床心理室長の早川さん
仕事中は厳しいが、業務を離れると面倒見がいいお母さん的存在である彼女
福本さんとは飲み友達であることも納得できる
似た者同士ってとこだ
「高梨さん。到着早々申し訳ないけれど、産婦人科の看護師長にどうしても早急にあなたとお話がしたいって頼まれているの・・・・師長、今日夜勤明けだから、今すぐにでもって言ってたから、早速、今から病棟に向かってくれるかしら?」
捲し立てるようにそう言う早川さん。
そんな彼女に伶菜は背中を押されながら会議室外へ追いやられてしまった。
それにしても
福本さん、伶菜になんの用だ?
まぁ、まだ遺伝相談チームにはまだ伶菜の話はしていなかったから
伶菜が一旦この場から離れることは悪いことではないと思う
その分、俺は覚悟をしなければならない
今、ここで
国会で言う証人喚問が始まるってとこだろう
「日詠先生。彼女が高梨さんですね。」
『ええ。彼女です。』