強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
顔を合わせるのは七年振りになる。

真夜が、仕事でバリへと旅立ってからはずっと音信不通だった。

三年前に日本へ帰国したことを父から聞いて知ってはいたけれど、私はあることを理由に彼のことを避けていた。

けれど、真夜がここにいるということは、もしかして私の結婚相手って……。


「久しぶり、明」


目が合った瞬間、にこりと微笑まれる。

その瞬間、ドキッと胸が波打つのがわかった。


思い出すのは、ほんのりと甘い初恋の記憶と見事なまでに玉砕し続けた辛い失恋の記憶。


「さぁさぁ、真夜君。座って」

「はい。失礼します」

父に促されて、真夜が私の隣に腰をおろす。

瞬間、金木犀の香りに似たほんのりと甘い香りが鼻を掠めた。

これは真夜が大学生の頃から好んで身に付けている香水の香りだ。

その懐かしい香りに誘われるように、真夜に片想いしていた頃の記憶が甦ってきて、胸がキュンと締め付けられた。

父が出した麦茶に「ありがとうございます」と爽やかな笑顔を浮かべる真夜の横顔をじっと見つめる。

すると、父の大きな声がリビングに響いた。

「いやぁ、真夜君。忙しいのにわざわざ来てくれてすまなかったね」

「いえ。顔合わせの前に一度、明にしっかりと挨拶をしておこうと思って」

‟顔合わせ„

その単語に確信が持てた。

やっぱり私の結婚相手って真夜なんだ。

でもどうして突然、私たち結婚するんだろう……。

< 18 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop