強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「経営危機の保しなのために結婚してほしいって明に頼んだら、分かったって返事しただろ。……もしかしてお前、適当に聞いてたな」

「えっ……」

バレた。

けれど、アハハと笑って誤魔化した。

結婚の話もそうだけど、保しなが経営危機だということも初めて知った。

寝ぼけながら話を聞いていた私も悪いけど、そもそもそんな大事な話を深夜に電話でしてきたお父さんも悪いと思う。


――と、そのとき。


玄関のチャイム音が来訪を知らせた。それにすかさず反応した父が席を立つ。

「さすが、時間ぴったりの到着だ。明、お前の結婚相手がお見えだぞ」

ちょっと待ってろよ、と言い残して、父は颯爽と玄関へと向かった。


……えっ、結婚相手もう来てるの⁉


何が何だかさっぱり分からない私は、その場でじっと待つ。

「さぁさぁ、狭い家だけどどうぞ入って。明もさっき着いたところなんだ」

少しすると、そんな父の声とともにリビングの扉がゆっくりと開いた。


「おじゃまします」


艶のある低音ボイスと共に姿を見せたのは、カチッとしたスーツを着た長身の男性。

彼を見た瞬間、私の鼓動が一気に早まった。


「どうしてここにいるの⁈」


ぎょっと目を見開いた。驚きのあまり座っているイスから転げ落ちそうになって、慌てて座り直す。


目の前にいるのは、久しぶりに会う幼馴染の真夜だった。

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