強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
まだ行き先は決まっていないけれど、このあとは真夜と出掛けることになっている。無事に財布も受け取ったことだし、そろそろ帰ろう。

「それじゃあ志穂さん、私はこれで――」

言葉の途中で服をくいっと引っ張られた。見ると、晴斗君の小さな手が私のことを一生懸命引き留めようとしている。

「明ちゃん、もう帰っちゃうの?」

寂しそうに潤んだ瞳で晴斗君に見つめられる。……そんな視線を送られたら、帰りづらくなってしまう。

「一緒に遊ぼうよ、明ちゃん」

「晴斗君……」

遊んであげたいけれど、今日はこれから真夜と出掛けることになっている。

でも、私のカバンから財布を取り出してまで、また私に会いたがっていた晴斗君のことを思うと、このまま帰るのもかわいそうになってしまう。

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