強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「そういえば、明、覚えてるか? 挙式後の控室で、俺のこと怒ってただろ」

「え」

何のことだろう?

一瞬、忘れてしまっていたけれど、少し考えてから思い出した。

「あ! そうそう! あのとき真夜、私との約束破った」


‟誓いのキスは頬にして„


幼馴染だった真夜と、たくさんの人が見ている前で、唇にキスをすることが恥ずかしかった。

だから、挙式が始まる前にそうお願いしたら真夜は頷いてくれた。でも、いざ式が始まって誓いのキスになると、真夜の唇が触れたのは私の唇で。

そのことを挙式後の控室で真夜に問い詰めたら、美味しいクッキーにうっかり釣られて、話をすり替えられてしまった。


「どうしてあのときキスの場所を変えたの?」

あれから一年も経った今、そのことを厳しく問い詰める気はない。でも、気になって問い掛けた。

すると、真夜の視線が宙へと浮いた。

その唇がゆっくりと言葉を紡ぐ。

< 253 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop