強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
真夜の突然の報告に頭がこんがらがって思考が乱れている。

バリがどこら辺にあるのか今すぐには思い浮かばないけれど、コンビニのようにちょっと行って帰って来られる距離じゃないことは分かる。

しかも支配人ってホテルの中で一番偉い人だよね。

二年前に大学を卒業してから、お父さんが社長を勤める実家のホテルグループで本格的に働き始めた真夜。まだ三年目のはずなのにもう支配人になるなんて。


真夜が遠くに行ってしまう……。


これはもうのんきに宿題なんてやっている場合じゃない。

私は勉強デスクを離れて、真夜がくつろいでいるベッドへと駆け寄った。


『いつ行くの?』

『九月の末頃かな』

って、あと一ヶ月しかないじゃん!

『いつ戻ってくるの?』

『親父には三年って言われてる』

『三年……』

『寂しい?』

『うん……あっ、いや、ううん。寂しくない』

いけない。

思わず本音で頷いてしまった。

慌てて首を横に振って、私はよろよろと勉強デスクへと戻った。
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