会長候補はSweets☆王子!?
「危ないっ! 伏せろっ!!」


 こんな言葉、アクション映画の銃撃シーンでしか聞いたことがありませんでした。

 でも、今紛れもなく誰かが、あたしに向かってそう叫んでいます。
 あたしはすぐに我に返ると、言われた通りその場にしゃがみこみます。


 ドサドサドサドサッ!! まるで大地震で陳列棚から商品が倒れた時さながらに、大小さまざまの本が崩れ落ちてくるのは、目を固くつむっていても、そのおっきな音から分かりました。

「もっと頭を下げろ!」

「はっ、はいっ!?」


 あたしの前に、本棚とは別の背の高い壁が現れたような気がしました。

 後ろの本棚と目の前でドミノ倒しを続ける本棚との間に挟まれ、うずくまるあたしの小さな体をカバーする形で、その声の主は、キャスター付の踏み台を盾みたいにして、あたしを守ってくれています。 


 やがて、十数秒が数十分にも感じられるようなおぼろげな感覚の後、次のドミノを倒すことなく、本の雪崩は止まりました。


 いえ、止めてくれたんです……
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