ストロベリーキャンドル
こんなの、仁じゃないよ。
仁はいつだって優しかった。
時折意地悪だったけれど、こんなに冷たくなかった。
私をあんな風に冷たい目で見たことなんてなかったのに。
『あんたが不倫?頭大丈夫か?
俺がそんな最低な女と結婚するとでも?』
さっきの言葉が頭の中をぐるぐると回っている。
そうだよね。
普通こんな最低女と結婚なんてしないよね。
仁は、本当に私で良かったのかな。
無理して結婚したんじゃないかな。
仁は、私といて幸せだったのかな。
もう、何も分からない。
いつの間にか眠ってしまっていたのか、
起きたら体が痛くなっていた。
ぱっと、仁の部屋の扉を見つめる。
あれから私がここにいたってことは、
仁は一度も出てきていないのかな。
立ち上がって体を伸ばし、キッチンへ入って冷蔵庫を開ける。
もう4時だ。
このまま朝ごはんを作り始めよう。
朝は何にしようと思って頭を悩ませる。
そしてあっ、と思いついた。
これで、思い出してくれるだろうか。