夢の中の世界
「確かにあるよな。だけど学校の時計でそのタイプは見たことがない。昨日まで普通に動いてたしなぁ」


このタイミングで時計が壊れるなんて、なんだか嫌な予感がした。


本当に、時計の針とこの空間が無関係だと言い切れるだろうか?


そう考えていた時、不意に恵一が目を見開いて全員を見回した。


「どうしたの恵一?」


あたしがそう聞くと「さっき時計が動いてたとき、俺たちはなにしてた?」と、質問してきた。


「え?」


あたしは瞬きをして恵一を見つめる。


さっきまでと同じように、この教室内で会話をしていただけだと思うけれど……。


「もしかして、俺たちの行動が引き金になってこの時計が動くんじゃないか?」


恵一が興奮したような口調で言う。


しかし、恵一の考えに頷く生徒は1人もいなかった。


きっと、考え方があまりに突飛だからだろう。


眉を寄せたり、目を丸くしたまま返事はしない。
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