美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「藤川のパソコンを不正使用した場合、マウスもしくはタッチパッドを触った時点で内部カメラが自動的に作動し録画を開始します。また、勝手に操作した内容はパソコンが瞬時に記憶し、藤川の持つパッドに転送されるのです」

朔也の言葉を聞いて、爬虫類顔を更に歪めたのは但馬だった。

「おや、身に覚えがありそうな顔ですね?但馬課長?」

「何を証拠に・・・」

言いかけて止めた但馬にはわかった。

パソコンに触れた瞬間から証拠が集められていたことに・・・。

「まさか、君が犯人だったのかね?なんて馬鹿なことを」

突然、裏切るような言動を始めた狭間部長に、但馬は目を見開いて抗議をした。

「藤川がそんなことを?何事も過ぎたるは及ばざるが如しだ。そんな変態、心晴ちゃんにはやはりふさわしくない」

副社長もグルのはずなのに、まるで他人事のように色ボケな言動を繰り返す直人はやはり馬鹿なのか・・・。

「あなたという人は・・・やはり心晴に誘惑されているのね?!」

仲間割れや夫婦喧嘩に発展しそうな気配に、朔也は大きくため息をついて渇を入れる。

「長野の件は但馬課長が犯人。全てを藤川の責任にしようと打ち合わせた内容も、狭間部長と但馬課長、そして副社長のメールのやり取りで判明しています」

一旦、言葉を切った朔也の本題はここからだ。

「そうそう、これまで三神主任の功績を我が物にしてきた経緯も、同時にあなた方のパソコンから全て回収していますのでご了承を」

「何の権限があってそんな勝手な真似を・・・!」

怒鳴る狭間に

「権限?そもそもそれを振りかざしてきたのはあなた方でしょう?犯してはならないルールを破ったのはそちらが先だ。゛目には目を、歯には歯を゛それこそがあなた方の仕掛ける喧嘩の醍醐味ではないのですか?」

と朔也は嘲るように笑った。

< 150 / 164 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop