美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「図星か・・・。瑠花ちゃんの朔也に対する遠慮がなくなってるから上手くいったのかと思ってたけど、さすがに朔也は手が早いな」

「誤解を招くような表現はよせよ。瑠花限定に決まってる」

再び抱き寄せて瑠花の髪にキスをする朔也に、瑠花は真っ赤になって

「もう、朔也さん、人前でやめてください・・・」

と呟いた。

「人前でないならいいんだな?雅樹、さっさと失せろ」

朔也の散々な言い種に雅樹は苦笑するが、12年間の朔也の苦悩と努力を知っているだけに、親友の浮かれぶりを受容することにした。

「そうだ、雅樹。来月の第三日曜日、予定を空けておけよ。心晴にも言っとけ」

「ま、まさか、例の計画を実行する気じゃ・・・」

「そのまさかだ。こちらの根回しは済んでいる」

「ひゃー、お前が本気になったらただでは済まないと思ってはいたけど想像以上だな」

瑠花は二人の言動の意図がさっぱりわからず首を傾げていた。

「キョトンとする瑠花も可愛いな。瑠花は何も心配することはない。全て俺に任せて」

「朔也、さん?」

「やれやれ、瑠花ちゃんもお気の毒だね。・・・とにかく俺も忙しくなりそうだ。こうしちゃいられない。瑠花ちゃん、またね」

パタパタと部屋を出ていく雅樹を見送りながら首を傾げ続ける瑠花だったが、突然、強引に朔也の方に顔を向けさせられて驚いた。

「俺以外の男の顔なんて見るな。俺だけ見てろ」

強引に唇を奪われて、二の句が紡げない。

゛だけど、こんな強引で俺様なイケメン御曹司が、私だけの王子様っていうのも悪くない゛

瑠花はうっとりと、その甘やかな唇の柔らかさを堪能しながら、朔也の思惑にドンドンと嵌まっていくのだった。
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