美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~

エピローグ

「だからってどうしてこうなるの~!!??」

約、一ヶ月後の第三日曜日。

瑠花はDシティの穂積堂と同じフロアにあるイベントホールに立っていた。

隣には何故か、海外で仕事をしているはずの父がフロックコートを着て立っている。

瑠花が身に付けているのは真っ白なウェディングドレス。

美しい髪はサイドを緩く編み込まれ、背中まで延びるサラサラの髪に差し込まれた小花が彩りを添えている。

胸元に切り返しがある細身のシルエットは、意外にもメリハリボディをもつ瑠花にはピッタリのエンパイアラインのウェディングドレスだ。

実はこれ、朔也のデザイン。

瑠花の知らぬ間に発注されたこのドレスは何故か瑠花にジャストサイズで驚きを隠せない。

「瑠花。綺麗だよ。こんなに早くお嫁に出すとは思わなかったけど、君もいい年だしね。朔也くんなら君を幸せにしてくれると信じている。幸せになりなさい」

「はぁ・・・」

涙目の父にそのような感動的な言葉をかけられても、瑠花はいまいち実感が湧かずに困っていた。

何せ結婚式のことも、このような公開イベントになることも何も聞かされていない。

゛一大イベントだ゛

と朔也に聞かされてDシティに来たものの、自分にとっても゛人生最大の一大イベント゛だったとは聞いていない!!

「ねえ、いい年って、パパ、本心ではそんなこと思っててたの?」

「だって、パパがママと恋に落ちたのは18才の時だから・・・」

デレデレと昔を思い出しているこの男、実は45歳だ。

瑠花の夫だと思われてもおかしくない位に若々しくイケメンだ。

「お二人ともそろそろご準備を」

イベントホール脇の入り口から顔を出した心晴が瑠花と瑠花父に声をかけてきた。

ぶっつけ本番とはいえ、穂積ソワンデシュヴの社運もかかっている一大イベントだ。

瑠花も気を引き締めて背筋を伸ばした。
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