美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
゛で、何がどうしてこうなるの~~~?゛

いつも通り、コンビニで買ったおかかおにぎりで適当に済ませるはずのランチタイム。

目の前には、直属の上司である橋沼雅樹と、つい先程上司になった穂積朔也が座っている。

「あの、私、今手掛けている新商品の改良に時間を割いていまして、こうしている時間も惜しいのですが・・・」

「穂積ソワンデジュヴはブラック企業に成り下がったつもりはない。取れるはずの休憩を社員に取らせずに開発した商品が売れても、倒れられたりしたら遺恨が残るだけだ」

お偉いさんがおっしゃることはよくわかるが、開発にはタイミングや好機をものにする流れというものがある。

゛そんな非科学的なことを科学者が言うな゛

と言うかもしれないが、ヒット商品の誕生にはそういう側面もある。

だが、納期が迫って頑張りすぎたあまり、倒れたことのある瑠花は、後ろめたさからあまり強く出ることはできなかった。

ジロリ、と目の前の橋沼と穂積を睨むが、穂積は我関せずと言うように、瑠花の目の前にメニュー表を差し出してきた。
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