美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「心晴さんはお出かけですか?私は今日、会議で狭間部長にお会いしました」

「そう、お父様、今日はそちらに行ったのね。じゃあ、穂積部長にも会えたかしら」

心晴の言葉に、瑠花は狭間部長の言葉を思い出していた。

゛朔也くんの相手はすでに決まっている。私の可愛い末っ子である心晴という美しい娘だ。君なんて足元にも及ばない゛

冷徹とはいえ、イケメン眼鏡御曹司の穂積朔也と美人なキャリアウーマン心晴のビッグカップルは絵になる。

゛この人ならもっと優しくて素敵な王子様が手に入るはずなのに、よりによってなんであんな冷徹俺様御曹司を選ぶかな・・・・゛

気づけば、瑠花はマジマジと心晴を見つめてしまっていた。

「穂積部長とお知り合いなのですね」

「ええ、彼とは少し複雑な関係なの」

あまり興味はないが、二人が深い関係であることは言質がとれた。

「まあ、冷たそうに見えるけど案外優しいところも純粋なところもあるから、三神主任は味方になってあげてね」

そう語る心晴は懇願するように、そして少し恥ずかしそうに微笑んだ。

瑠花は、狭間や但馬だけではなく、彼氏持ちや旦那持ちの女性からよく牽制を受ける。

゛近寄るな゛
゛誘惑するな゛

態度だけではなく、面と向かって言い放たれたことも1度や2度ではない。

゛その目が男を誘惑する゛

オッドアイにそんな力はないのに、訳のわからない理由で言いがかりをつけてくる輩達。

そんな奴らなんて言い返してしまえばいいのだが、瑠花は敢えて元凶に近付かない道を選んできた。

触らぬ神に祟りなし。

この時、瑠花は今後、穂積部長には必要以上に近付かないと心に誓って、簡単な挨拶を交わし心晴から離れるのだった。
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