初恋エモ
翠さんは「あたし女の子の友達いないから、美透ちゃんと仲良くなれて嬉しい~」と言っていた。
見た目は可愛いし、彼氏今までたくさんいたらしいし、他の女子から嫉妬されちゃうのかな。
クラスで微妙に孤立しつつある私。
どこか儚げな雰囲気を漂わせる翠さん。
「美透ちゃん、メイクしたらもっと可愛くなるよ」
「私、全然したことなくて……、どこをどうやったらいいんですか?」
「大切なのは目元かな~。そうだ今度やってあげる!」
「本当ですか? ステージ出る時どうしようって思ってたんです」
話しやすいし、もっと話してみたいという気持ちになる。
性格も見た目も全然違うけれど、居心地はよかった。
「おー楽しそうじゃん!」
二人で楽しく話していると、ミハラさんが来た。
部活帰りのため、ジャージ姿。疲れているはずなのに爽やかな笑顔。
「こ、こんばんは!」
うわぁ、どもっちゃった。恥ずかしい……。
「こんばんは、美透ちゃん」
しかし、一人もじもじしている私にいつもと変わらない笑顔を見せてくれる。なんてできた人なの!?
そのまま三人でいろいろ話していたらあっという間に時間が過ぎてしまった。
「あははー、それ面白ーい!」
ちなみにベンチが狭いのもあるけれど、翠さんはミハラさんにボディタッチするし、太ももをくっつけてるし。
うわー。これは女子からはあまり好かれない感じがするぞー。
「そういえば、クノさんから連絡ありました?」
「ううん、ないよー。何してるんだろ」
「家近くだし、行ってみる?」
もうすぐ21時半。家に帰らなきゃいけないけれど、もう少しだけいいかな。楽しいし。