横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜

・知らされた真実

その日、知らない番号からの着信履歴があった。

無視してたら、再度かかってきたので出てみる。



「鹿ノ首瑠璃さんでしょうか」


男性の声だ。


「はい、そうですが」

「ワタクシ、この前の丸岡食品CMガール募集のオーディションでお世話になりました江川と申します。覚えてますか?」


まったく覚えていない。


「オーディション中に吹き出してしまったおっさんです。あのときは失礼しました」


…思い出した!

あの審査員だー!
左から2番目の。


「それでね、ちょっとほかの案件なんだけど
 CMに出る女の子探していまして…
 あ、ほんのちょい役なんだけどね。君がイメージにぴったりなんだ」


急に饒舌になった。
なんかあやしい。


こういううまい話は慎重に
…ってママが言ってた。

「今度時間があるときでいいから
 一度うちの社に来てもらえない?きちんと説明をしたいので」

「前に行った丸岡食品ですか?」

「いえ、私はアバンギャルドという
 広告代理店の者です」


考えてから返事しますと言って電話を切った。

絶対返事ください、とその江川さんという男性に念を押された。
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