蛍火に揺れる
「けどさぁノリ君」
私は大村君の話を聞いて、少し引っ掛かることがあった。

「何?」

「映画が好きな人ってさぁ…恋人と続かないもんなのかなぁ……?」

そう言って私はため息を漏らす。続いてノリ君も、真似るようにため息をついている。言いたいことはわかったらしい。

「うーん…自分の世界に入りすぎてる、のかなぁ?」

「まぁ確かに、そうかもねぇ」


私たちのこの会話の意味。
実を言うと……菅原さんの話だ。

ゴールデンウィーク中、菅原さんは付き合って数ヵ月の彼氏に振られた?らしい。
しかもそのきっかけが私と一緒の浮気の目撃と言ったもんだから…そりゃまあ。しかも歴代彼氏全員と言って良い程、浮気やそれに近い形で別れているらしいとも。

映画が好きなら、そういう恋愛とかには疎くはない筈なんだけどな…なんて思うのだが、彼女はどうやってもヒロインにはなれないですねぇ、なんて苦笑いしていた。

いやいや、あなた十分ヒロインになる素質ありますから!
いつかそれを本人が自覚してくれる日は来るのだろうか、なんてそんな余計な心配を三人でしている真っ最中なのはここだけの話である。
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